透明に近い葛藤

 乱暴な目覚まし時計に起こされることの無い朝は雪原のようで、鳥も言葉を忘れ去る。聴こえてくるのは、微かな風のハミングだけ。果てのない空間の広がりに、自分の位置を見失いそうになる。

 ふと思う。大切なのは、雪原の朝で生き延びること。

 太陽と月が高い位置にいる時間は気配が存在し、気配は何かしらの連帯感を与えてくれる。地に足をつけておくことの出来る結束感が生まれる。

 雪原の朝は夢の延長かと思うほど、一人という意識を植え付ける。神様は姿を隠し、何かしらのアクションが求められる。

 運命に逆らうことを要求する運命。

 雪原の朝。僕のシステムはここから起動し始める。