桃源郷のような一夜を迎えた後に

 死者を鎮魂するために、川で灯篭を流す。大きな船には観音様の絵が乗せてあり、流れていく灯篭を見守っている。坊主が集まってお経を唱え、人々は何かに対して服している。

 鎮魂についての意味を考える。何に対して気持ちを鎮めようとしているのだろうか。死者、残された自分達の行き場のない感情、未来と過去を繋ぐ社会。

 本当に鎮魂したいものは、きっといつまでも生き続ける。その人の心の中で。燃やしたり、川に流したり、土に埋めたり、じっと留まってみたりしても、そいつは必ず再生する。

 逃げることも出来なければ、戦うことも出来ない。そんな行き場のない感情を鎮めるには、繰り返すしかないのかもしれない。その人、そのモノに対する鎮魂の儀式を。

 自身にとっての鎮魂の儀式。感情を浄化する儀式。

 鎮魂が建設的な未来を築くために、美しいモノを知りたいと願うこの頃。