選択の中に漂う予感

 様々な局面と出会った時、選択が生まれ、何かを選び取って生きていかなければならない。選択は不意に訪れ、軽快に現れる割に、その後の道には厳かな重みがある。

 選択の中で垣間見えるもの。それが自我なのかもしれない。選択を迫られるだけの自我がそこにあるのかどうか。急激な重力の変化。

 選び、決定する。それは、一つの自我と出会うこと。

 内面の引力にひきつけられた自我は、痛みを知っている。いや、痛みの予感を知っている。漠然としていながらも、決定的な痛みを。

 痛みの成分は優しさから出来ていて、自我はそこから成長していく。

 そう。自我には優しさが滲み出る。

 そんな自我と出会うために、今日も一つの選択を決定する。痛みの予感を携えながら。

 薄い水色の空。はっきりと映し出される黒い電線。明け方。月と太陽が今、同じ目線で語り合っている。