地図と距離

内面とは、現実とも夢とも違ったもう一つの世界で、川があり、大地があり、空がある。花は咲き、音が流れ、海辺で舟が揺れている。僕は世界に少しずつ、現実という色を塗り重ねる。

 内面の世界で出会う人。その人と僕は地図を見せ合う。地図を重ね合わせてみる。ピタリと地図が重なる場所。それはきっと、色調がはっきりとしている場所。重なり合わない場所にはきっと、言葉と個性が存在する。

 重なりから旅が始まる。透明の質感を肩に触れながら。地図は広げない。描かれた色彩を辿るだけ。

 言葉と個性の空間に鳴り響く予感。その音にじっと耳をすませる。予感の響きを理解する。音は新たな色を、色は鮮明な風景を、風景はそっと神様に捧げる。

 神様は地図を重ね、全てをつなぎ合わせる。そして、つなぎ合わせた地図を僕たちにくれる。

 僕たちと神様がつながる。内面と世界がつながる。

 現実と内面の間にどれだけの橋を架けれるか。何本の橋を架けたいのか。好奇心の新たな側面に出会う。