憧憬からの観察

 規定されたもの、他者の取る行動。そんなトコから突然に、自身が定めているルールに気づくことがある。そのルールはこだわり、憧れとも言い換えることが出来るもの。ディテールの細部に自身を動かし続けてきた文化と再会する瞬間。

 不意に訪れた自身との対面は現実と憧れの境界線を溶かし始め、未来への方角を垣間見せる。その中で出会えた確信は、憧れと同時に過去の暗闇も鮮明にする。

 幸せでも絶望でもなく、ただ、生き方に触れた瞬間。

 それを受け入れることにより、動かし続けてきた文化への憧れは力を強め、自分の不器用さが益々浮き彫りになっていく。

 年輪の厚みを重ねていく工程を思い浮かべる。その年輪の元となっている芯に目を向ける。樹皮の厚さではなく、基点となった芯を見ることで、年輪には確信が生まれることだろう。