新居

友達の新居にお邪魔しました。新居って良いですね。駅から友達の家に行くまでの間、友達は期待と微かな不安を抱いていたり、何度も通ったことのある道ですら、新鮮なもののように感じられたりもする。友達が大家さんから入居する時の条件がまた面白い。その大家さんは高齢の方らしいのですが、「私はこれから本を出版しようと思っている。そこで、私が書いた本についての感想を述べて欲しい。どんな感想でも構わない。素直な感想を述べてくれたら入居を認める」との条件だったそうです。ちなみにその内容は、『法は愛の前では無力である』、『科学は宗教と寄り添えるか』などについて書かれていたそうです。

果たして、その難関?を通過した友達は、無事に新居を構えることが出来ました。部屋に入る。まだ引越ししたばかりの未完成な空間。座る部分が広い椅子と小麦色のソファー。雑誌の上に積み重ねられたコンポ。無機質でありながらもその人の空気を感じさせる。テレビはまだ届いていないらしく、部屋の中がとても広々としています。低い位置に設計された二面の窓が、その部屋を更に広く見せます。

R&Bを流しながらお茶を啜る。マカデミアンナッツを頬張りながらバンブーの簾を見つめる。何だかとても変てこな組み合わせ。そこがまた、この空間の未完成さを表しているようで、無性に愛しくなりました。未完成のものは何かしら惹きつける要素を持っています。

帰り道を歩きながら、この友達との関係を思い、改めて楽しくなりました。お互い、実家が程よい距離にあり、実家暮らしの時はカフェに入って話しをしたりしたこと。それが二人とも一人暮らしを始めて再びご近所になる。この友達とは長い付き合いが出来そうです。暖かい空気を足元で感じながら、友達との新しい付き合い方、新居の完成までを見届けられる喜びに胸を躍らせた一日でした。