*音楽

僕は音楽が好きです。音楽を聴くこと、自分で演奏すること。そのどちらにも魅力があります。温かい昼の日差しを取り込みながら、クラシック音楽チャイコフスキー交響曲第6番)を聴きました。隣には恋人が座っています。二人同じ空間に居ながら、それぞれの世界へと旅立っていました。

曲が終わり、互いに見えた世界の話をしました。僕は夕暮れから夜に変わる路地裏の景色が見え、恋人はダンスする女性が見えたのだそうです。僕の世界には人一人おらず、恋人の世界には夕日がありませんでした。僕と恋人は音の世界で出会うことはありませんでした。

違う世界にいるのはきっと、恋人と過ごした時間よりも多くの時間、それぞれの道を歩いてきたことの証明になるのかもしれない。偶然の何かがきっかけで、僅かに重なり合ったところで歩み寄ることを選択した。今も自分と恋人は、その僅かな接点に身を委ねて一緒にいるのかもしれない。その接点に愛を感じたりもします。

では、その接点とは果たして何だったのか。それを振り返ると音楽だったことに気づきました。違う世界を見ながらも、それでも分かり合える世界を見ていたこと。それがギリギリの、そしてとても強力な接点を生み出してくれました。音を楽しむことが出来れば、誰とでも繋がることが出来る。それがたとえ言葉が通じなく、互いの姿を知らない人とでも。僕と恋人が幸運だったことは一つ。音楽と供に、互いの世界にギリギリまで近づくことが出来たことだと思います。

今一度、音を楽しむことの出来る人とコンタクトを取ってみるのはいかがでしょうか。