螺旋感情

 自動的に動き始める感情は未だ透明にならず、様々な色を塗り重ねている。塗り重ねていくうちに、透明の存在そのものを忘れ去る。

 透明は、この世に存在する。

 感情の核を探す時、ついつい自身の奥へと潜り込もうとしてしまう。一人で潜るにはあまりにも重労働で、底の部分に到達する前に断念してしまう。安直な答えは歪んだエゴイズムの塊に過ぎない。

 そんな時は外に向けて歩を進めるべきだ。誰に会わなくても良い。自身にとって最善の方法で、その一歩を踏み出してみる。

 歩を進めている最中、ふとしたトコロで触れる感覚。透明に触れる感覚。

 こぼれる涙は、誰かが自分に教えようとしてくれていたもの。

 「感情の核は、透明で、何もない」と。

 これからもきっと、色を重ね続けていくのだろう。それが透明にならないと分かっていても。ただ、透明の存在があることを、その触れた感触を、無意識の中にでもしまっておきたい。

 窓の外を見る。雨粒は、空の透明な部分なのだろうか。